slider001
slider002
slider003
previous arrow
next arrow

機能矯正で難症例の治療

酷い不正咬合は機能矯正では治せないんじゃないか?

「機能矯正は噛み合わせを治す治療だから歯並びは治せないんじゃないか?」という質問を頂いたことがあります。
今までに手掛けた症例の中で一番重かったものをお見せしましょう。

初診時正面観

かなり重度の不正咬合と言えます。
前歯が3本しか見えません、が実はちゃんと4本あります。

側面

横から見ると糸切り歯は完全にかみ合っていません
しかも真ん中の歯より前方にあります。

咬合面

特に右側が悪いことが分かります。
糸切り歯と側切歯は縦に並んでしまっています。

上も下もほぼ前歯一本分の狭窄歯列です。
右下2番は3番の後ろにあります。
歯の転移が起きています。
でも抜いてしまってはダメです。

お顔

お顔の状態はこのような感じでした。
お口を閉じてしまうとあまり不正があるように見えません(ほうれい線が20代にしては深いです。)。
このことが治療を長引かせることにつながったかもしれません。

この方は当時海外と日本を行き来する仕事をされており、調整は数か月に一度。
途中で3年ほど中断するという経緯があり、トータルの治療期間は長引きました。

これを除いても真水の治療期間で約3年かかり、当院の機能矯正としては異例に長引きました。

術後

術後正面観

なんとかここまで治しました。
すべての前歯がきれいに見えています。
角度はあまりよくありませんがこれが限界でした。

術後側面観

横の歯並びもなんとか全部の歯が噛み合いました。
前歯の角度は良くありませんが、子の角度は長期的に変わって行き最終的にもっと良くなると思われます。

術後咬合面観


最近のやり方ですが、
・上はリンガルリテーナー
・下はVループリテーナー
※どちらも固定式
で後戻りを防ぎつつ咬合の安定を図ります。

歯列はしっかり拡大できました。
すべての歯が歯列に収まりました。
ただし、実は右下の7番だけ抜歯しました。

第二大臼歯第三大臼歯交換療法と呼ばれています。
右下の一番奥の歯は親知らずですがご本人は抜歯したことも、忘れてしまったようです。

術後お顔の状態


かなり初診から時間が経ちましたが、ほうれい線が消えて若々しいお顔になりました

術前術後比較


正直正面から歯列を見ると4抜歯のほうがきれいなのかもしれませんが、歯列を見ると



口腔内が十分に広くなっていろいろな健康面では良い影響が期待できます。

また、ビムラータイプAを併用することによって、長期的にさらに良いかみ合わせになるようにしてあります。

総評

この症例では異例に時間がかかってしまいましたが、機能矯正でもこのような難しいケースを治すことができます。
歯並びがきれいに越したことはありませんが、それ以上に「呼吸が楽であり、お口の中にストレスがなく若々しい顔立ちである。」と言うことは、患者さんの健康な生活には欠かせないことではないでしょうか?