2018-6-13
予防歯科シュガーコントロール有効な予防歯科か?
今日は私の考える予防歯科についてお話ししましょう。
○○が身体に悪いから食べるのを止めましょう!
という健康法はなぜか日本人にとても受けるようです。
この○○にいろんな食べ物を入れて検索をかけると
たいがいの食べ物が引っかかってきます。
いちばん有名どころは砂糖と肉ですね。
すき焼きを喰う人はみな短命なんでしょうか?
まあ砂糖が虫歯の原因になるというのは
有名な話で砂糖のストレプトコッカスミュータンスによる不溶性グルカン(つまり歯垢)生成能は議論の余地はありません。
ところがグルカンを生成しない果糖でもう蝕は発生します。
またアメリカやヨーロッパ諸国では日本人の3倍もの砂糖を摂取しているのにう蝕率は日本人の3分の1という統計も知られています。
この違いに実は思い当たる事実を発見しています。
日本とアメリカヨーロッパの人の予防行動の決定的な違いは
「日本人はフロスを使わない」
ということです。
これは臨床家として長年虫歯治療に当たっていて
「永久歯列の人の虫歯は圧倒的に隣接面から発生している」
という事実に行きあたったのです。
フロスなんか使わなくても毛先みがきや音波歯ブラシを
使えば歯間のプラークなんか除去できるはず
という思い込みはブラッシング指導に口腔内カメラを導入して
見事に打ち砕かれてしまいました。
全く磨けないのです。
そして歯間をきちんと清掃するにはデンタルフロスが必須である
と言うことが数年口腔内カメラを使用した予防処置で判明してきます。
そこで驚いたのは大半の患者さんがまた高齢になるほど
フロスの使用に激しい抵抗を示すのです。
つまり日本の歯の予防の概念に「歯の間を磨く」という情報が欠落しているのです。
この事実はおそらく日本人は砂糖の摂取量が欧米人の3分の1で虫歯の数が3倍という係数の根拠となるものと推測しています。
虫歯を予防したいなら
「デンタルフロス」を普及させることの方がはるかに有効だと思います。
そもそも今の世の中で
「甘いものを全く摂らない」
という生活が可能だと思いますか?
昔と違って今は虫歯の原因にならない
しかも毒性のない甘味料がかなり出回ってはいますが
昔はそもそもシュガーフリーだった
昔というと
昭和30年代から40年代にかけて
かなり危険な食品添加物が多く出回っていたみたいです。
終戦後完全に物がないと言う時代を抜けはしたものの
まだいろいろな物資が完全には戻っていないと言う時代
その上朝鮮戦争が終わって高度経済成長期に入って消費が活発になりはじめ
たためか、甘味料に関してはかなり人工のものが多かったようです。
サッカリンは今でも時々見られますが
発がん性の疑いで禁止になったチクロという甘味料もありました。
砂糖はもともと植民地だった台湾やフィリピンから運ばれてきたもので
太平洋戦争で南方からの物流が途絶えた日本では砂糖が高価で品薄だったようです。
そこでサッカリンやズルチンという人工甘味料が多く用いられ
中でもチクロという人工甘味料は味が良く
このころ流行った粉末ジュースはチクロで作られていたそうです。
ズルチンは知りませんがサッカリンは甘いことは甘いのですが
味の基幹が苦味でありサッカリンで味付されたものは苦くてまずいものでした。
それに比べチクロは砂糖よりうまかったと言われ
私も子供のころによく飲んだ粉末ジュースはとてもおいしかったと記憶しています。
昭和45年にチクロが発がん性と催奇形性で禁止になり
世の中に「全糖」という表示があふれかえると
なぜかこのB級の菓子類がとても気が抜けたような味になって行ったのを覚えています。
もちろんチクロやサッカリン、ズルチンに齲蝕原性はありません。
ではこのころの子供に虫歯が少なかったか?
そんなことがないのは虫歯が昭和30年代が40年代にかけて国民病と言われ
現在の歯科大乱立と歯科医師過剰の遠因になったことを考えると容易に理解できるでしょう。
人工甘味料の全盛期と虫歯の罹患の全盛が重なっていると言う事は虫歯の多発とが必ずしも砂糖の摂取のみが悪いのではないのではないか
という考察になるわけです。
要は磨き方
また磨くタイミングと頻度なのではないか
私の予防歯科はそんな考察から
効果的な歯磨きとは何かを考えた結果
お伝えしているものなのです。
気になる方は予防をご指名でお出で下さい。