矯正治療で顔が変わる

歯並びを変えると良くも悪くも顔が変化する。

皆さんは矯正治療で顔が変化すると言う事実をご存知ですか?

矯正治療できれいな歯並びになって顔だちもよくなるかと思いきや
頬がこけてしまい・・
などと言うお嘆きをよくネット上の投稿で見かけます。

4抜歯をするとなぜ顔が変わってしまうのか考えたいと思います。

4抜歯をしてもあまり顔が変わらない方もいます。
逆に極端に頬がこけてしまう方もいます。

抜歯矯正をされている先生はよく抜歯をしないと歯が口から飛び出してゴリラのような顔になると脅されますがうちの症例を見ていただければわかるように
抜かなくても顔がおかしくなることはありません。

どう変わるかは治療次第

もっとも他の非抜歯矯正ではカッパのような顔になった人を観測していますから何が何でも非抜歯ならいいとも言えないようです。

さて
それでは次の写真をご覧ください。

抜歯矯正後の患者さんの口腔内写真です。
素晴らしい仕上がりです。
それもそのはずこの方は某歯科大学の矯正科で
れっきとした矯正専門医が治療した患者さんです。

これはスケルタルダイアグラムと言い私たちが機能矯正の診断をするときの基本的考え方を示しています。
作ったのはヨシ・ジェファーソンというアメリカの機能矯正医の先生です。
本来はジェファーソンアナリシスという分析方法の一部なのですが、この図は普遍的に利用できるものでビムラー分析の応用版なので矛盾しているところもありません。

機能矯正では最初の分析でこのスケルタルタイプを見極めて治療方針を決めます。
左上のコマのものが正常骨格上の矢印が上あごの位置あるいは大きさ下の矢印が下あごの位置あるいは大きさです。
上が出ていればいわゆる出っ歯ですが、出っ歯にも3種類のバリエーションがあるのがわかると思います。
このバリエーションにより治し方が全く異なるわけです。
同じ治し方をしていてもうまくいく場合と行かないばあいがあるのはこのバリエーションを考慮せず同じ手法をとるから起こるとも言えます。

さきほどのかたではありませんが抜歯矯正を終了した方の典型的なお顔です。

悪いとは言いませんがなんというかこの深いほうれい線は何なんでしょう?
ほうれい線のお悩みは40代以降に発生するものですがまだ肌のの色つやの良い20台で起こってしまうとじたいは深刻です。
ま、若いうちは皮ふのハリでなんとかなるものではありますか。

さて
さっきは良いかみ合わせと言いましたがもう一度歯の写真をご覧ください。

犬歯の頭そしてその後ろの歯が、ほとんど平らになってしまっていると思いませんか?

上下とも奥の歯が極端に擦り減っています。
左側の上の歯列の向かって右側の奥から二番目の歯実はセラミックのインレー(歯の詰め物)がしてあるのですが何回やっても欠けてしまうとの事。
あきらかに顎運動と歯の咬みあわせが食い違っているのです。
歯がどんどん擦り減ってしまってセラミックインレーも割れてしまうし歯の外側のエナメル質が抜けしまって中の象牙質が出始めてしまっています。
これは50代の患者さんではよく見られることですがこの患者さんはまだ20代の後半です。
たいてい矯正の術後写真は口腔内だけでお顔の写真が出ることはありません。
出せないのです。
また撮影するのはワイヤーを外したその日に撮るのでこの写真のようにいろいろな不具合が起きる前に撮ってあるのです。

私と矯正歯科との出会い

ここで私が矯正の研究を始めたきっかけをお話ししましょう。

以前も他のブログで書きましたが私は歯医者の技術の中で個々の歯をしっかり治す保存と言う分野が好きで大学の保存修復科と言うところに研修生として残りました。

そこでは来る日も来る日も歯を削ったり詰めたりしてるわけです。
個々の歯をしっかり治して積み上げて行けば自ずとその人なりの咬みあわせになるだろうと言うのが当時の私の考え方でした。
矯正治療はそもそもその人が成長の過程で獲得した歯と顎運動の調和を崩してしまうのであまりやるものじゃないだろうと考えていたのです。

ですからその頃はどうしても矯正がやりたいと言う患者さんは矯正医に紹介していたのです。

ところがある日、変なことに気が着きました。
矯正医に送った患者さんが誰も返信されて来ないのです。
まあそのうち矯正治療完了の報告とともに帰ってくるのだろうと思っていましたがついに矯正に送った患者さんが返信になることはありませんでした。
また、臨床を重ねるうちに抜歯矯正をした患者さんにいろいろな不具合が生じていることにも気が着き始めます。
要するに返信しないのではなくてできないのだと思うようになりました。

その一番の原因は顔だちの変化でしょう。

顔だちの変化とスケルタルダイアグラム

前回書いたグラフジェファーソンアナリシスから作られたスケルタルダイアグラムを思い出してください。

上の分析図はビムラーの分析のトレーシング図です。
日本人の分析をすると最も多い典型的な上下顎劣成長つまりBRの分析結果となります。
キモは右側の顔全面に一本上から下にまっすぐな線が引いてありますがこの線をマクナマララインと言い上顎と下顎の位置関係を調べるために使っています。
上顎の前縁かこの線上にあれば上顎の位置は正常ですがこの方のようにずっと後方にある場合は成長に何らかの問題があるということです。
このとき上顎の値が基準線より大きければつまりタイプⅡAとタイプBPの場合は抜いても顔の形が大きく崩れることはありません。
この二つのタイプは矯正専門医が説明するように拡大で歯を並べようとすればゴリラ顔になります。この二つはアングロサクソンやアフリカ系の方に多く見られます。
日本人にはほぼ見られません。
日本人に多いのは子の症例の方のようなBRです。

成長したら育つんじゃないの、と思うかもしれませんが上顎骨は4歳時点で成長の70%が終了しているので成長期になって上顎が大きくなることはありません。
成長は下顎で起こるので上顎が小さければ下顎の成長も抑制され上下顎劣勢長つまりBRになるか下顎だけが成長して反対咬合になるか下顎は成長してかみ合わないので下方向に下顎が伸びてしまってオープンバイトになる
だいたいこのような選択肢をとることになります。

ではBRの人を歯を抜いたらどうななるかお分かりですか?

もともと上顎は小さいのですから抜いてしまえばさらに小さくなります。
小さいために問題が発生しているのにそれをさらに悪化させる方向にもっていってしまえば
結果は最悪です。

それでは何が悪いのかというと

抜歯矯正は白人のための技術である

考えてみてください。
もともと抜歯矯正はアメリカで生まれました。
アメリカにはいろいろな人種がいますが矯正治療が受けられるのは裕福な白人だけでしたから抜歯矯正とはそもそも彼らのための技術なのです。
上の顎が基準を超えて大きければ歯を抜くのもありと思われます。
(いろいろ問題は発生しているみたいですが)しかしそもそもBRのように上の顎が小さければ歯を抜いてしまえばもっと小さくなってしまいます。
すると症例の方のように深い豊齢線と頬こけが発生することになります。
つまり抜歯をするから変な顔になるのではなくて抜く適応症ではないから抜いたら変な顔になるのです。
4抜歯をするのがいけないのではなく4抜歯の適応ではない人に抜歯をしてはいけないのです。
そして4抜歯の適応の方は日本人ではとても少ないのです。

また所謂非抜歯矯正で6を後ろにずらす治療をする方もいますがこれもBRでは悪化する恐れがあります。

抜く適応ではない方を抜いてしまうとこのようになる恐れがあります。

つまりはすべて診断しだい

診断で抜いてはいけないと出ているのに抜いてしまうからおかしくなる正しい診断をしてそれにしだがって治療をすすめれば良い治療結果が出せるのです。
ご相談の時に必ず言いますが分析はその後の治療方法を決定するための重要なものです。

矯正治療で遭難しないために

そして山で遭難しているときに自分が歩いている道が登っているのか下っているのか基本的なことを確実に把握するためにそしてますます深い山に迷い込んでしまわないために診断を正しく行わなければなりません。
冒頭矯正治療をすれば顔が変化すると申しましたがそれは当然のことでなぜなら顔の下半分を形作っているのは歯だからです。
矯正治療をしすれば当然お顔は変化します。

歯並びは悪いが明るいいい表情

治療後、どう思われますか?
どちらがいいかは主観的な問題ですが治療が終わって良くなっている方は治療をしてとてもよかったと言ってくださいます。

機能矯正が良いと思うのは

良い顔立ちには良い歯列が裏打ちをしている

良い顔立ちにはム必ず正しい歯列が裏打ちをしている。
私が機能矯正がいい治療だと確信を持って進めているのはたくさんの患者さんで確認しているこの事実があるからに他なりません。

以下の提言をエビデンスとしています。

歯科での防護衣の使用

気持ちの問題を考えての対応になっているようです。

Q.歯科のデンタル撮影やパントモ撮影で患者さんにエプロンをかける施設とかけない施設があります。患者さんの防護衣は掛けたほうが良いのでしょうか?
A.防護衣はビーム外の放射線や室内の散乱線からの線量を減らすことが期待されます。
しかし、この場合、防護衣の効果は小さく、放射線も小さいのでメリットはとても小さいと考えられます。

X線CT装置ではガントリからの散乱線が比較的大きいので積極的に利用している施設がありますが、それでも効果は限定的です。

歯科エックス線撮影における防護エプロン使用
についての指針
日本歯科放射線学会防護委員会
【はじめに】
歯科診療で一般的に行われる画像検査法は口内法エックス線撮影、パノラマ
エックス線撮影そして頭部エックス線規格撮影である。それぞれの撮影はその
撮影方法および撮影条件が異なり、患者被ばくの観点から同一に論じることは
できない。そこで、これら 3 種類の撮影法での防護エプロンの使用について個
別に指針を提示する。
なお、患者への防護エプロンの装着は、認識可能な防護手段であるため、し
ばしば論議の対象となる。しかし、患者には実際の対策として認識できない、
撮影条件の最適化等の防護エプロンより効果的で重要な防護手段が他に多くあ
ることは広く知られている。防護エプロンの使用は、他の合理的な防護手段を
講じてもなお防護の最適化の余地が残されている場合に、経済的かつ技術的要
因等を考慮した上で実施し得る被ばく低減手段のひとつと考えるべきである。
【それぞれの撮影法における防護エプロンの使用】
1.口内法エックス線撮影
口内法撮影では、フィルム(CCD、IP 等)を使用して標準的な全顎撮影を行
う場合、前歯・犬歯・小臼歯・大臼歯を 10~14 の部位に分けて撮影する。撮
影時の臓器線量は撮影部位とエックス線の照射方向(ビームの向き)によって
かなり異なる。特に、体幹部方向に照射される場合は重要臓器を含め、放射線
感受性の高い臓器が被ばくする可能性がある。したがって、照射野が十分に限
定されているとはいえ、撮影手技によっては防護エプロンを使用する意義はあ
ると考えられる。しかし、EC(European Commission、欧州委員会)のガイ
ドライン[1]では、必ず使用しなくてはならないとはされていない。防護エプロ
ンの装着は、患者の被ばく線量を低減するためというより、患者の心理面への
配慮のためと考えた方が適切である[2]。
2.パノラマエックス線撮影
パノラマエックス線撮影法は、上向き 5~10 度のスリット状のエックス線を
患者の頭部後方から入射させ、270 度程回転させて歯顎顔面部を走査し、その
展開像(総覧像、パノラマ像)を得る方法である。防護エプロンを使用しても、
実質的な患者の線量低減効果はほとんどないとされている[2]。一方、防護エプ
ロンを不適切に装着した場合、防護エプロンの像が下顎前歯部に重複し、再撮
影を余儀なくされる危険性がある。このため、防護エプロンは使用しない方が
良いと考えられている[1]。しかし、患者の心理面への配慮に基づいて装着する
場合もある。なお、いかり肩や極端に首が短い患者に対しては、防護エプロン
の装着によって撮影中にカセッテホルダが患者の肩に当たり、体動や装置の動
作停止を誘発する危険性があるため、装着の適否はより慎重に判断する必要が
ある。
3.頭部エックス線規格撮影
頭部エックス線規格撮影法は歯科矯正治療に必須の撮影法で、この撮影法で
は照射野を頭部・顎顔面部に合わせて設定する。防護エプロンの装着は、照射
野外の一部の臓器に若干の線量低減効果があるものの、患者の体内を透過する
散乱線には効果がないため、使用しなくとも特に支障はないと考えられる。
【ICRP の勧告】
放射線の利用に当たり、ICRP では 1990 年勧告(Pub. 60)、2007 年勧
告(Pub.103)で「行為の正当化」、「防護の最適化」および「個人の線量制限」
が体系化されている[3、4]。この防護体系の中で、患者の医療被ばくを低減す
るためには、まずエックス線撮影における正当化を行い、正当化された撮影に
関して最適化を行うことが患者防護の最も重要な事項と考えられる。

矯正治療は時間との闘い

コロナウィルスもオミクロンに置き換わったことが不幸だったのか幸いだったのかわかりませんが

感染者は増えるものの重症化する方がほとんどいないという状況になってきています。

感染対策もいろいろ検討される段階に入ってきました。

当院も基本的な感染対策は継続しながら診療時間、体制などピーク時より緩和して診療しております。

さて冒頭書きました

矯正は時間との闘い

と申しますのは

矯正治療は治るまでとても時間がかかるから

なのです。

また、いつ治療をやりたい

と思い立たれるのはその方その方によって異なると思います。

しかしながらこと機能矯正にかんしては

思い立たれてたその時が最も治りやすいと言えるからなのです。

何故なら成長は時系的に進行していきます。

症状は今日より明日、明日より明後日と徐々にではありますが

進行していきます。

そして治しにくさも徐々に徐々に増していきます。

歯並びかみ合わせにお悩みがあり

機能矯正のコンセプトが気になった方

どうか時期を逸さずにご相談においでください。

おひとりのケースの終了が一つの幸せの始まるであるように

常に心を込めて

日々診療を行っております。

最近の症例 その2

最近の症例をもう2例ご紹介いたします。

前回症例のご紹介をしましたが、作ってみて

やはり模型だけ、しいうのはあまりに臨場感がないので

今回はお口元のお写真だけお借りして紹介させていただきたいと

思います。

症例1

先天欠損で不正咬合になってしまったケース

よくある状態ですが口唇が閉じ切らず前歯が出てしまっています。

 

歯がどうなっていいるかというと

このような状態です。

クラウディングが強かったのでわかりにくいですが

左下3番が先天欠損です。

上下歯列の大きさが合わなかったため不正咬合となったのです。

 

下顎が小さいため上顎前突になっています。

そのため前歯が口唇から出てしまっていたのです。

 

 

意外とおもわれるでしょうが

上顎も発育が悪がったため上顎を発育させることから

治療をスタートしました。

その後下顎の先決部分を治しました。

さてどうなったかというと・・・

 

症例1治療終了しました。

 

このように治りました。

 

長期間上下の誤差があったためなかなか完璧な咬合とはなりませんでしたが

何とか許容の範囲に治りました。

約一年半の治療期間、料金は基本の機能矯正料金でした。

咬合面、側面観はこんな感じです

お顔の改善

何よりよかったのはこのお顔の改善です。

頬のあたりの改善が見て取れると思います。

これは最初に上顎を改善したため起きた改善です。

治療しないで過ごすのと治療後で過ごすのでは

いろいろと生活も変わるだろうと想像できます。

 

症例2

上顎発育不全のケース

見た感じはそんなに悪くありません。

かみ合わせはこんな感じです。

八重歯が顕著ですが

ご本人は最初治療に乗り気ではありませんでした。

こうしてみるとやはり上顎発育不全が不正咬合の原因のようです。

側面から見ると下顔面のボリュームが物足りません。

上顎発育不全の典型的な顔貌です。

この年齢からの治療となるとなかなか完璧とはいかないことが多いです。

骨格にゆがみが生じてしますためで

最終的には良くなるのですが

かみ合わせを整えてきれいにして骨格は治ってくるのを待つ必要があります。

さてこのように治りました。

症例2治療終了しました。

咬合面からみると悪くないです。

もう少し噛んでくれたらよかったという感じですが

ここからは保定しながら治るのを待つこととしました。

症例2お顔の改善

即傍観はわるくありません。

鼻の形。口唇の形が良くなっていると思います。

上顎発育不全を治療するとよく起こる変化です。

側面から見るとお顔の下半分のボリュームも改善しています。

鼻の形が良くなりました。

治療後のほうがいいお顔ですね。

治療にやはり2年弱料金も機能矯正の基本ルーティンでした。

ご本人も治療してよかったと喜んでおりました。

機能矯正の治り方

機能矯正では完璧なかみ合わせを無理やり作ることより

昨日正常咬合を取り戻すことに主眼を置いています。

正しい機能を取り戻せば

混み合わせんいい感じでその方のかみ合わせになっていくからで。

そのように治った歯並びは

自然でバランスの取れた顔だちを作るとともに

安定的な予後となるからです。

 

 

最近の症例ご紹介

最近終了した症例をご紹介させていただきます

最近終了した機能矯正症例のご紹介をさせていただきます。

ただコンプライアンスがありまして今回は模型だけのご紹介とさせていただきますことをご了承ください。

 

機能矯正ってどれくらい治るの?

実際奇麗に並べたいと思ったら抜くしかないんじゃないのっと思っておられる方も多いのではないかと思います。

 

日々治療に当たっていてどうしても抜かなければならないと思ったケースはほとんど記憶にありません。

日本人の場合不正咬合の原因はほとんどの場合顎骨の成長不足なのです。

ですから抜歯をして歯列を小さくすれば歯は並ぶのですが

小さな顎にさらに小さな歯列というダブルパンチになってしまい

それ故全体の機能バランスが崩れ

当院の新患の患者さんのおよそ5パーセントが抜歯矯正の再治療という事態になるわけです。

ちなみに

 

抜歯矯正の再治療はどうするの

 

かというご質問を受けることがあるのですが

結局は抜いたスペースを取り戻すということが大前提になります。

したがって抜いてしまった歯の部分は何らかの補綴処置が必要となります。

補綴の方法は主にブリッジかインプラントということになります。

以前抜いたスペースを取り戻すのが嫌という患者さんがいらっしゃいましたが

残念ながら治療をお断りいたしました。

抜歯がすべての場合で不要ということではありませんが

要はどのような機能的バランスがその患者さんにとって一番良いのかを探りあて

それに向かって治療を進めるということだと思っています。

さて最初のケース

極端な狭窄歯列です。

 

ひどい上顎前突でお口が閉じない状態でした。

特に上顎小臼歯間の狭窄がひどくこのまま育ってしまったら

と思うと背筋が寒くなりました。

このケースは典型的で大人になって成長が終わってしまってから

小臼歯を抜歯しても治せないのははっきりわかると思います。

それでは治療終了後はどうなったでしょう。

小臼歯間の拡大を行うというのが治療の主眼でした。

ただし単純な拡大床を使ってはいけません。

あくまでその人の持っているポテンシャルを引き出すというのが

治療を成功させるポイントです。

狭窄歯列を治すことによって押し出されていた前歯が口唇の力で押し戻されて

自然に位置で噛むようになりました。

下顎はほとんど拡大していませんが

上顎の軛が取れたことによってちょうどよいところに落ち着きました。

ワイヤーも使いましたが側方歯にはブラケットを着けない

ユーティリティアーチだけで治すことができました。

 

それでは次のケースです

咬合面からみると上顎3番下顎右3番が小臼歯に押し出されているようにも見えます。

ここから見ると第一小臼歯4本抜けば簡単に治りそうな感じもします。

横から見るといかにも寸詰まりの歯列です。前歯が立ちすぎているというのも治したいというご希望でした。

歯列に拡大は必要ないようです。

さてどうしますか。

このように治りました。

この方を分析すると所謂上顎骨発育不全だったわけです。

したがって当初の治療は上顎の前方けん引を実施しました。

典型的な抜歯禁忌症例です。

確かに抜歯をすれば歯は並びやすくなります。

しかしそもそもの原因が顎骨が小さいために起こっているわけですから

それをさらに収縮させるような治療をしてはいけないということです。

これは元々リテーナー制作用の模型ですからあまり良い模型ではありません。

ブラケットが着いた状態で印象をとって技工所で削って作ってもらっているからです。

申し訳ありません、これでお願いいたします。

歯列の大きさ前歯の角度などが自然に治っているのがこの模型でも観察できると思います。

口腔内が広くなったことによりいろいろよくなったと患者さんは大変喜ばれておりました。

この方は後半治療で全歯にブラケットを装着しました。

治療期間は1年11か月当初の印象よりかなり早く治りました。

最後に

さて、最近は公開することを前提に資料を集めていないので

お見苦しい写真であったことをお詫びいたします。

しかしながら機能矯正の効果はお分かりになっていただけたかと思っております。

歯並びかみ合わせのことでお困りの方がいらっしゃいましたら

まずは無料のZOOM相談から

お問い合わせお待ちしております。

子どもの矯正何をいつ始めるか?

歯列矯正では3番が出るまで待つのが常識?

矯正歯科の常識とは

子どもの矯正と言うと犬歯が生えてからするものと言うのが

歯列矯正の常識です。

これは大学の歯科矯正学の講義で散々聞きました。

ところがこの考え方だと「歯並びを悪くして」から

歯を並べると言う方法論となります。

確かに歯並びを治すならこの考えも間違いではありません。

しかし治すべきは歯並びだけなのでしょうか?

矯正治療は8歳まで待てはどうなの?

犬歯が生えるのは早くて8歳くらい。

上顎の犬歯は永久歯のいちばん最後に萌出すると言われていますから

すでにめちゃくちゃな歯並びになっている子をみすみす何もしないで

放置すると言うことになります。

なんなら3番は待っても永遠に生えてこないという可能性もあります。

2022年8月現在、高1になって上顎3番が左右とも乳歯のまま

という方の治療を進めています。

正直めまいがするほど大変です。

子供の矯正では何を治すのか?

なぜ歯並びは悪くなるか

ここで考えなくてはいけないことは

なぜ歯並びが悪くなるかと言うことです。

歯並びが悪くなるのは本質的には

歯が並ぶ顎の骨の大きさと歯の大きさがアンバランスだからです。

歯の幅径の総和より顎の骨の大きさが小さければ当然歯は真っ直ぐに並ぶことはできなくなります。

これはすべての矯正理論に通じています。

異なるのは

ではそれをどうやってただしいかみ合わせにしていくのか

という理論と手法になります。

機能矯正はどうやって治していくのか?

一般的な矯正では顎が小さいのだから歯を抜かなければ治らないと考えます。

または並べるために後ろの歯をさらに後ろに押し込んで場所を確保しようとします。

機能矯正ではまず歯と顎の位置と大きさを計測し

顎が小さいのであれば顎を育てよう

顎が正常なのに歯が異常に大きければ歯を抜こうと考えます。

たたしこと日本においては顎が正常な大きさなのに歯が異常に大きかったというケースは

ほとんど見たことがありません。

以前海外の講師の先生のセミナーでそのようなケースを見たことがありますが

アフリカの人でした。

歯並びは呼吸によっても悪くなる

また、子どもの矯正では歯並びに大きな影響を持つものがあります。

それが呼吸機能です。

 

不正咬合のタイプにもよりますが

子どもの不正咬合は口呼吸を伴う事があります。

または呼吸機能に問題があったから

不正咬合になるという場合もあります。

良く扁桃腺を腫らす子供は口呼吸があり

口呼吸になるとかみ合わせが不十分であり

咬合というのは機能することによって完成していき

また咬合して機能することによって

歯並び自体もよくなっていきますから

必然的に口呼吸の人は

歯並びも悪い傾向が強いと言えます。

口呼吸のパターンの一例

口唇の閉鎖力が弱いため前歯部がちゃんと並ばない

この状態をセファロレントゲン写真で見ると

気道と言う呼吸をする時に空気の通る管が極端に細くなっている場合が多く見られます。

物理的にも軌道の狭さが確認できることもあり

歯並びが悪いから呼吸が悪くなるのか

呼吸が悪いから歯並びか悪くなるのか

どちらかというと

後者が主因だろうと思われるのですが

この二者は相互に関連しながら成長していきますので

どちらも正しい成長には欠かせない要素だと言えるでしょう。

アデノイド顔貌、口呼吸の結果顔が上下に長くなっている。当然歯もかみ合わない。

以前の記事でも述べましたがこの状態を長く続ければ身体的のみならず脳の発育にも悪影響が出てきてしまいます。

この観点から言うなら機能矯正を始める時期は早くて早すぎることはないと言うことになります。

実際3〜6歳で機能矯正治療を始めた方は私の記憶では軒並みたいへん良くなって

元気な中学生として勉強や部活です活躍されていました。

 

機能矯正とは歯並びが悪くなることを未然に防ぐものである

歯並びは生える前に改善するべし

機能矯正では歯並びが悪くなることを未然に防ぐ

ということを本質としています。

つまりもともとの骨格を歯が並ぶために十分な大きさに育てることができれば

歯並びが悪くなることなしに育つことができるようになります。

当然呼吸などの機能も正常な状態を保ちつつ育っていくことになります。

犬歯が出るまで待って8歳9歳まで呼吸を改善しない状態でいれば

6歳以前からしっかり脳に酸素が送り込まれていた子とは

ほとんど致命的とも言える差がついてしまうでしょう。

大人になってからは顎骨の大きさを取り戻すのは難しい場合もある

 

もちろんすべてうまくいくというわけではありませんし

歯だけが大きすぎるということもありうるわけです。

しかしながら歯が大き過ぎるのは後からなんとかなります。最悪抜けばいいわけですから。

しかしながら顎の大きさの回復は大人になってしまったら簡単にはできません。

機能矯正で一番大事なものは分析

何をすべきかを知るために

機能矯正で分析を重視するのは

何をどのように育てると健康な顎顔面が回復できるのかを

きちんと調べ何をするべきかを明確にするためです。

育てるべきところは育て抑制するべきところは抑制する。

それが的確にできるためには分析は欠かすことができません。

ただし3歳児では後日分析となる場合もある

例外的に最少年齢の3歳から機能矯正を始める場合

体を自分でレントゲンを撮影ための固定することができないと判断し

なおかつ機能矯正治療を必要と考えるに足る充分な所見がみられる場合

まず装置を使ってもらい6歳くらいまで育ってから分析を行って

治療の評価とそれ以降の治療計画を立てるという場合もあります。

充分な所見とは

左右非対称な場合とクロスバイトつまり歯の食い違いがあるばあいです。

これは早く解決しないと顎がゆがんで育って行ってしまうので

分析ができないならとにかく有視界飛行でも障害を排除し

なるべく正しい成長のラインに乗せてあげることが必要になってきます。

成長のフェアウェイ

フェアウェイをキープせよ

今正しい成長のラインと言いましたが

この成長のフェアウェイをキープすることが

機能矯正の最も重要な使命だと考えています。

機能矯正装置MUHアプライアンス<]上顎の発育促進に使う

 

診断を誤れば使ってもうまくいかない装置もある

装置の選択

とくにファースト即ち一番最初に使う装置の選択は非常に重要で

これを誤ると治療がうまくいかないだけでなく

装置が不快なため子供さんが装置を嫌がってしまい

その後の機能矯正治療に甚大な悪影響を与える場合があります。

これは既成装置を子供に使おうと思った場合にしばしば起こります。

既成装置は安価な反面とても使い心地が悪いので

万が一使えたらば治療成功と言われることもあります。

一度子供さんが嫌がってしまったら

その後いかに立て直すのがたいへんかは

お母さまなら何度も経験されていると思います。

また

ある装置を使えば本来の成長を超えて拡大をしていくこともできます。単純な拡大床矯正と呼ばれているもので

子どもの矯正を相談したことのある方は一度や二度は出会しているのではないでしょうか?

拡大と言う要素は確かに機能矯正でも重要な要素ですが

単純に横に広げても問題は解決しません。

使いようではあるが時に役に立たない場合もある装置の一つ

広げれば治るだろうと広げているうちに

適正な大きさを遥かに超えてしまったなどと言うのを何例も見ています。

これは正直治すのがとても難しい。

一度過拡大してしまうと元に戻すのが不可能なケースもあります。

フェアウェイをキープするためには何がフェアウェイかを見極める力も必要になりますし、これは意外に難易度の高い技術と言えると思います。

正解は見えているか

ですから健康な成長を促していくには

その子にとっての正解を常に念頭に置いていくことが不可欠と言えます。

それと重要なのは

何をするのかが見えたところで

そこに向かっていける「適切な装置」が必要だということです。

子供の矯正は矯正専門の知識や技術が無くてもできる

と嘯くコンサルタントの暗躍でろくろく効かない装置を数年使わされて

貴重な時間を無駄にしている患者さんがおられるのはとても残念なことです。

効く装置というのは

まずその子に合わせて作られたオーダーメイドの装置であること

そるからしっかりとしたアクリル樹脂で噛んだ時に硬質なフィードバックがある装置

ということができると思います。

 

さて今までの話をまとめてみると

では結局いつ何をはじめるのか

いつ何を始めるかまとめ

機能矯正を始める時期は

やりたいと思たときというのが正解なのだと思います。

理想的には6歳ぐらいで始めるのが

一番効果が上がりますからこれより年齢が上であれば

思い立った時が一番の適齢と言えると思います。

また

明らかなクロスバイトや左右非対称がみられる場合は

3歳からでも早すぎない、ということです。

そしてしっかりとした診断とオーダーメイドの装置を使用して

しっかりと成長を促進していくということがなにをするのかということになりましょう。

そして私の夢

私の夢は

私の機能矯正で日本中に

「元気なイケメン男子」と「優秀なキュート女子」がいっぱいになることです。

あなたの子供さんにもその第一歩を踏み出させてあげてください!

6歳より上ですが

こんな状態で治りました。

どちらがご本人にいいかは明白だと思います。

 

3500

 

子供の成長に悪影響があり意外に見落とす出っ歯

意外と気にならない子供の出っ歯

お子さんの矯正相談で一番典型的なのは反対咬合です。

これは不正が分かりやすくお子さんが反対咬合の場合親御さんはあわててご来院になります。

しかし過蓋咬合つまり上の前歯が下の前歯をしっかり覆ってしまっている場合はどうでしょう?

上の前歯がしっかり見えていると反対咬合のように極端な違和感がないため

それが異常だということになかなか気が着きません。

それでは健康面への影響はどうでしょうか?

咬みあわせが健康に及ぼすもっとも大きな影響は呼吸です。

反対咬合の場合見た目は悪いですが実は下顎が前進していることによって

気道が開いている場合が多く呼吸にはあまり影響がない場合が多いのです。

ただし極端な上顎発育不全に伴う反対咬合では

やはり呼吸に問題が起こりますが。

極端な下顎後退です。下の前歯はほとんど見ることができません。このようなお子さんは早めの来院をお勧めします。

 

下顎後退(出っ歯)は呼吸に悪影響がある

 

下の前歯が見えないほどの過蓋咬合では下顎が後ろに押しやられていることが多く

下顎が後ろに追いやられると気道がつぶれてしまって呼吸がしにくくなってしまうのです。呼吸が苦しい子の呼吸の様式には一つの特長があります。救急蘇生のABCと言うのがありますが一番に来るAとはエアウェイ気道の確保、になります。

具体的にどうするかと言うと下顎を前方に引っ張り出すのです。

意識が落ちると筋肉が弛緩して下顎が落ちてしまいます。

この時舌も落ちる可能性があるわけですが、まず口の中を調べて遺物の除去舌根沈下があれば引っ張り出してさらに下顎も前に引っ張り出して空気の通り道を確保する。

その後B、ブリージング人工呼吸へと進むわけです。(ちなみにCは心臓マッサージ)

ですから下顎が後退していると言う事は空気の通りが悪いというのは

人間の解剖学的な特徴なのです。

 

下顎後退は口呼吸になりやすい

 

下顎後退している人が口を閉じていると気道がつぶれてしまって苦しいので口をあいて口で呼吸することになります。いわゆる口呼吸です。

呼吸の正解は鼻呼吸で

鼻と言うのは呼吸するための器官ですから呼吸に必要な機能が備わっています。

鼻から入った空気は鼻の入口でごみやほこりを取られます。鼻の入口は

エアフィルターの役割をしています。

その後鼻腔に送り込まれた空気は鼻腔内の繊毛でさらに細かい細菌などを除去され

さらに体温によって温度調整をされ加湿されてちょうど良い具合になって

気管に入ります。また鼻腔は適度な広さを持った空洞でここが呼吸チャンバーの役割をはたして空気の取り込みの効率が良くなるようになっています。

口にはこのような機能はありませんから

空気はストレートに口腔内を通過し口腔乾燥を引き起こしながら

乾いたまま気管、気管支を直撃します。

口腔乾燥を引き起こし入った細菌は繊毛によって体外に排出されることなく体内に取り込まれてしまいます。

ですから口呼吸の子は風邪をひきやすいのです。

 

口呼吸の子供は落ち着きがなくなる

 

このように口呼吸の弊害は広く知られているところですが

さらに重要なことに口には鼻腔と言う呼吸チャンバーは存在しないため

空気の取り入れ効率が悪く呼吸数が増加します。

呼吸数が増加すると心臓に負担をかけると同時に

その人の性格も変えてしまいます。

すなわちいつではハァハァと細かい呼吸を繰り返しているために

落ち着きのない人になりがちです。

子供の患者さんを診ていて思うのは

過蓋咬合のこどもは多動が多いということです。

しっかりした統計データーではないため確定的に言う事は出来ないのですが

矯正装置の調整に多動の子供だとそうではない子供に比べて

倍時間がかかるので体験的に過蓋咬合の子は多動が多いなと感じます。

当然多動で集中力がなければ学力に差が出るのは明白だと思います。

それに加えて口呼吸だと体に取り込める酸素量が違ってきますから

脳や身体の発育にいい影響があるはずはありません。

 

子供の機能矯正で成績が上がっているかもしれない

 

これも体験的なものなのであまりそうだとは公言できないのですが

機能矯正治療がしっかり終わった子は良いところに進学している

と思うわけです。

はじめたころは多動でどうにもならなかった子が

機能矯正を終わりバイオプログレッシブに入るころには

すっかり落ち着いてブラケットを着けさせてくれるというのはいつも体験しています。

そうなればしっかり落ち着いて勉強にも取り組めるのではないでしょうか?

この患者さんはバイオネーターによる治療を行いました。後半のバイオプログレッシブは希望されなかったため

前歯に隙間が残りましたが患者さんは満足されていました。ちなみに中学受験をされ志望の難関校に見事合格されました。

 

歯だけ治せばいいっもんじゃないと言うのが信条

 

下の歯が見えない子

つまり過蓋咬合とか2級咬合とか呼ばれる子は

頭が悪くなると確実に言う事はできないかもしれませんが

それをしっかり治療した子供が成績が良いと言う事は

実感として感じている。

これだけは自信を持って言えると思います。

子供の矯正と言うと何とか前歯を並べようとします。

乳歯にブラケットを着けたり

シリコンの既成装置を着けたりいろいろやられています。

〇〇シールドと言う装置も一見よさそうで

動くのは歯だけという欠点があります。

自分の考える歯科医療は歯を並べるだけにとどまらず

全身の健康を増進するものでなければならないと考えています。

機能矯正を受けていただいたお子さんが身体的にも学力的にも

しっかり成長されていることに

機能矯正医として歯科医としても喜びを感じています。

 

治療は糸切り歯が出てからって本当?

矯正科を受診して言われること

昔大学で矯正の講義を受けたとき
「不正咬合の予測はできないので糸切り歯が生えて確かに不正咬合だと分かるまでは治療できません。」と教授が言っていました。
その後機能矯正を手掛けてご相談にお見えになった患者さんの親御さんから
「糸切り歯が出るまで治療はできないと言われました。」とひどい狭窄歯列のお子さんをお連れになって言われることが良くあります。
この先生はきっととてもまじめで大学で習ったことが真実だと信じておられるのでしょう。

糸切り歯が出る前の状態は?

相談に来られたお子さんは糸切り歯はまだ出ていないのですが
2番のとなりに隙間なくぴったり4番が生えており
このまま放置しておけば側切歯の前に糸切り歯が生えてきてひどい八重歯になるのは見え見えでした。
一刻もはやく治療を開始したほうがいいですよ、とお勧めしたところ
治療をお任せいただいて間一髪八重歯になるのは回避できました。
実は八重歯は生えた後より生える前の方が圧倒的に治しやすいのです。

日本人は八重歯好き

もっとも日本の文化では八重歯を「かわいい」として喜ぶ風潮もあります。
たしかに日本人の丸っこい顔にちょいっと生えている八重歯は愛らしいと言えば愛らしいですね。猫がかわいいのはニャンと言った時に犬歯が一瞬八重歯で見えるのも一因かと思います。
また大食いクイーンの萌えアズさんは健康な歯並びなのにわざわざ付け八重歯を付けていることで有名です。
がテレビを見た感じでは正直あまり可愛い八重歯になっていませんね(苦笑)
治療は糸切り歯が出てからという矯正医の話に
あまり違和感を持たない人が多いのは、八重歯になったらなったでいい、と思っている人が結構いらっしゃるからかもしれませんね。

可愛い八重歯も歳しだい

しかしながら若いころは可愛い八重歯も加齢を重ねると歳不相応になってきます。
だいたい男性ではちょっと不審な感じになってしまうので八重歯は避けたいところです。

なにより清掃性が圧倒的に悪くて虫歯になりやすいと言う欠点を持っています。
やはり歯はちゃんと並んでいるに越したことはないと思います。

私の機能矯正で八重歯を治すと

もう一つ余談ですが
私の機能矯正で八重歯を治すと
なぜか八重歯のかわいらしさが残ったうえで歯並びが良くなるという効果が出ます。
これに関してはなんでそうなるのか、はっきりご説明はできないのですが
八重歯が可愛い人は糸切り歯の位置がそもそも可愛いところに生えているので
歯が並んでもその可愛さは変わらないと言う事なのでは、と思っています。
このような人に抜歯矯正をして糸切り歯を後ろに引っ張ると変な顔になるようです。

犬歯はいつ生えてくるの?

ところで犬歯はいつ生えてくるのでしょう?

年齢でいえばだいたい8歳くらいですが個人差はかなりあります。
また上下の生え方には特徴的な差があって
下の犬歯は乳臼歯の交換に先立って生えてきます。
上の犬歯は小臼歯の萌出が終わったのちに最後に歯列に入ってきます。
この時萌出スペースが足りなければ外に振り出されて八重歯になります。
つまり犬歯が出るまで待て
は防げば防げる八重歯をみすみす生えさせてしまうまで何もするな
と言っているともいえるわけです。

経験を積めば乳歯列から不正咬合を予見できる

さいきん自分はたくさんの患者さんを治してきたおかげと言いますか経験と言いますかで
乳歯列の状態を見たらだいたいどんな永久歯列になるか予測できます。

それと分析の数値を突き合せればどのようにしていったらどうなるか
つまりどう育てれば良くなるのかをみきわめ
不正咬合を防ぎながら健康な歯列に育てることができます。

ただしそれは機能矯正で成長を促しながら治療をしているからできるのであって
歯を並べることだけを考えているなら
そもそも並べる歯が無かったら並べることができないわけです。

糸切り歯が出るまで待てとはどうゆうことか?

さっき上の糸切り歯は最後に歯列に入ってくる
と述べましたが
要するに上の糸切り歯は永久歯で最後に生えてくる歯なのです。
つまり
「糸切り歯が出るまで待て」
と言う事は
「不正咬合を完成させてください」
と言っているのと同じことにもなるのです。
糸切り歯が生えて立派な不正咬合になったら4番抜歯をして歯を並べてあげましょう
というのが「糸切り歯が出るまで待つ」ということです。
ま、これはこれで一つの方法論ではありますよね。

糸切り歯が出るまで待つと治療はやりにくくなる

さてでは糸切り歯が出るまで待っているとどんな不都合があるのでしょうか?

まずは私が診ている限り
最も多い不正咬合の原因は上顎の発育不全です。
上顎骨は4歳で70%の成長が終了していると言われていますから
6歳で上顎発育不全が見られたら一刻も早く上顎に刺激を与えて成長を
促進しなければなりません。
8歳まで待っていればそれだけロスタイムになってしまいます。
それに不正咬合が重症である場合
永久歯の萌出は遅れる傾向にあります。
待っても待っても糸切り歯は生えて来ず
遂に埋伏してしまったと言う事例もあります。
機能矯正治療の本来の妙味を発するには
6歳から治療を開始するのが最も適しています。

機能矯正はドイツから始まった

伝聞ですがドイツの歯科大学の矯正科に行くと
小さな機能矯正装置がたくさん並んでいるのだそうです。

ブラケットは大きなマーケットである

歯が無ければブラケットは使えない

ブラケットで歯を動かして真っ直ぐにしようと思ったら
歯が無ければどうにもなりません。
じつは歯科業界での力関係はその分野がいくら儲けているかによって決まります。
矯正材料のメーカーは高価なブラケットを販売することによって多くの利益を上げており
それだけ歯科業界への発言力は高いと言われています。
矯正歯科の著名どころはみな有力歯科材料メーカーのスポンサーを受けており
その利益に反する発言はしにくいようです。

だから
とは考えたくないのですが
もしブラケットを使わずに歯が治ってしまったらメーカーは大打撃をうけるので
もしかすると発言に対して圧力をかけていると言う事も考えられなくもないと思います。

結局治療は小さいうちから始めるに限る

結論を言うと

適切な診断と両方を用いる限り
治療は小さいうちから行うのに越したことはなく
糸切り歯が出なくては治療ができない
というのは
「そのような治療法を取るならば」
と言う事だと考えるのが適切だと思います。

また機能矯正を適切に施術していくと
身体機能や知的な機能に好影響があることが多く観察されていますが
治療開始年齢が上がるにしたがってこの影響は薄れていくことも観察されています。

子供さんの歯をきちんと成長させたいと思われるなら
早めにお出でになることを強くお勧めいたします。

6歳からの機能矯正

なぜ小児矯正は6歳から継続するとうまく行くのか?

早期抑制矯正について

矯正治療と言うと皆さん歯が生えそろってからやるもの
という印象をお持ちだと思います。
確かに歯列矯正は歯がすべて生えていなければてきません。

では歯がはえそろっていないうち不正咬合を予防するにはどうしら良いか?
そもそも歯がちゃんとした位置に生えてくれば良いわけです。
その為には?

つまりはそもそも歯が全部並ぶお膳立てをしてやればいいわけです。
たいていの場合歯がきちんと生えてこない原因は顎の大きさに対して歯が大きい
または、歯の大きさに対して顎が小さいというのが原因です
顎の大きさと歯との調和がとれるようにしてやればいい
ということになります。
どうするのでしょうか?

一時乳歯にフルブラケットを着ける
という治療が流行ったことがあります。
乳歯を通して顎の大きさを整えようということだったようです。
これはうまくいかないんだろうな、と思っていたところ
最近はこの話をほとんど聞かなくなりましたから
やはりうまくいかなかったのでしょう。
乳歯というのは永久歯にはない特徴があります。
それは根が溶けて生え変わるという特徴です。

乳歯の根は下から永久歯が上がってくると根を溶かす細胞が出現して溶けていく仕組みになっています。
この刺激は正しい永久歯の萌出だけでなく
何らかの刺激が根に入ったことによっても発生する場合があります。
この原理は遺伝子によって操作されているようで
永久歯が先手欠損でも乳歯の吸収脱落だけが起こる場合があります。
つまり永久歯による物理的刺激ではなく
そこにある遺伝子のよって活性されているらしいのです。

当然歯にブラケットを着けるなどの物理的刺激が
歯冠にかかることによっても活性されます。
従って乳歯にブラケットを着ければ顎のほうに力がかかる前に
乳歯の脱落が早く起こってしまうはずです。

これでは顎の形を整えることはできせん。
これを考案した先生も顎の形を整えることの重要性は分かっていたのだと思いますが
方法が違うと思うのです。

歯列不正が起こるときは歯が生えてくるときにすでにむちゃくちゃに生えて来ます
この時にきちんと歯が生えるようにしてあげれば後々の歯列矯正は少しの手間で行う事ができます。

顎の形を整えてきちんと歯が並ぶようにしてあげる。
この治療こそが機能矯正なのです。

成長期の子供は成長への刺激の感受性が高く成長不全があった場合
正しい方向に導くのは比較的容易です。

歯が生えてしまえばすでに成長は終わってしまっているわけですから歯を動かして並べることはできても成長不足を補う事は容易ではありません。
ですから歯列矯正では歯を抜いて歯を動かすスペースを作らなければならないのです。

子供のうちに不正咬合の可能性を見抜いて治療を行っていく治療を「早期予防抑制矯正」と呼びます。
私の機能矯正は本当は「早期予防抑制矯正」を得意としています。

不正咬合は何故おこるか?

不正咬合を防ぐためにはなぜ不正咬合が起こるか理解しなければなりません。
またそれにより不正咬合のわずかな予兆を見抜き親御さんへの適切な助言と治療方針を出せなければなりません。

以下は重症順に記載してありますので頻度がこの順で起こるわけではありません。

最も身近で頻発するものは
口呼吸です。

 

1)先天異常

機能矯正の歴史を紐解くと先天異常との取り組みにさかのぼります。

 

 

ピエール・ロバン症候群

下顎の小顎症を伴う事が知られている先天異常です。
鳥貌症ともいられあたかも下顎が無いような顔となります。
機能矯正の歴史はピエール・ロバン症候群の治療から始まった
ともいわれています。このとき治療用に開発された装置が改良され現在の機能矯正装置になりました。

第1、第2鰓弓症候群

 

顔面が左右非対称となる先天異常です小耳症を伴うなど主な治療は形成外科となり歯科はその後続発的な治療をすることになります。
私の師匠の岩附が治療経験を持っていますが形成外科での治療に続いて機能矯正治療を行い良好な結果を出しました。

 

以上不正咬合を伴う著名な先天異常をご紹介いたしましたが
どちらも非常に早期に化骨延長手術をしなければ治りません。
化骨延長とは、太い骨の真ん中を切断して
クランプをかけてその間を少しづつ開き
開いた隙間に骨ができるのを待ち、またそこを切断して伸ばすを繰り返し
目標の長さになるまで伸ばすという手術で
通常数か月
子供の顎の先天異常の場合数年かかる大変な手術です。
後天的に起こることはありませんので少なくとも普通に生まれた子供は心配する必要は
ありませんが骨格を治す機能矯正の原点となるもののためご紹介させていただきました。

 

不正咬合をある意味先天異常の一つと捉えるなら当然顎骨の成長力のある小児のうちに治療に着手する方がわざわざ成長力が無くなってしまうまで待つより治りがいいのは当然だろうと思います。

また近年歯の先天欠損がとても多くみられるようになりこの場合は早めに手を打たないといつまでたっても歯が萌出してくることはありません。
大きくなってしまうと顔面の変形などを併発してしまう事になります。

2)習癖

指しゃぶり

乳児の政祖先のための原始反射、哺乳反射

指しゃぶりはお母さんも気にされ早く治したいと思われる習癖の一つですが6歳になって永久歯が生え変わり始めるまでに解消すれば問題はありません。しかしながら私の症例で中学生くらいまで指しゃぶりを続けた方を見たことがありますが、この方は極端な上顎前突になり下顎の前歯は後方に倒れていると言う極めて難しい状態になっていました。

うつぶせ寝

うつぶせ寝を推奨する育児法があるようですが少なくとも健康な上顎の発育にはうつぶせ寝は勧められません。私が診た人で極端な上顎発育不全の方はみなうつぶせ寝だったからです。中にはうつぶせ寝の解消に強く抵抗されるお母さんもいましたが何とか説得して治療に成功しました。

3)遺伝

親御さんが不正咬合だとたいていお子さんも不正咬合になりそのタイプも似ています。
またご両親は歯並びがいいのに子供が不正咬合になったと言う場合何代か遡ると
そのような不正咬合の方がいたなどと言う事もあります。

4)呼吸

アデノイドの腫脹などがあり鼻呼吸ができず口呼吸になると歯並びは極端に悪くなります。歯は自ら咬みあう事によって位置を決めていくからです。咬みあっていないために歯がどこに行ったらいいかわからなくなくなってしまうのです。
最近アデノイド顔貌がイケメンになる、またはイケメンはアデノイド顔貌という話が広がっているみたいです。
これは調べてみて意外だったのですが皆さんはご存じでしたか?

確かに面長は最近の流行りなのかもしれません。

ジャニーズの二宮さんとかはアデノイド顔貌なんでしょうか?

 

が一つ条件があると思います。

面長で歯がきれいに並んでいるということです。

通常口呼吸の場合歯並びは悪くなります。

何故なら常に口が開いている状態になるためかみ合いがきちんと作られないのです。
そして常に口が開いているために上下に長い顔になります。
不思議なことにかみ合いがないと歯はきちんと並ばないことが多いのです。

アンガールズの田中さんもアデノイド顔貌ということのようです?

機能矯正治療に当たっては口呼吸の改善を図るよう常に気を配ってます。

5)原因が特定できないもの

大半の矯正の患者さんはここに分類されます。
不正咬合は様々なことで発生し病態も一様ではありません。また致命的なものではないので病因論的に予防するという研究がなされていません。
従って不正咬合に有効な予防は確立されていません。
原因云々いうよりとにかく早く治療に着手することがいちばん有効なのです。

不正咬合は様々な要因で発生しますがなってしまった以上治さなければ自然治癒はありません。
普通の親御さんは子供が不正咬合になることを望んではいないと思います。
(もっとも中には歯が一本生えてこないくらいなんでもないと言う方もいましたが)
小さなうちからしっかりと診断し各成長段階に適した治療を行う事によって
歯を抜くなどの無理な治療することなくきれいな歯並びを作ることができるのです。

症例

過蓋咬合を機能矯正で治した症例

7歳になるくらいの時に来院された患者さんです。
ここまでのディープバイトはさすがに病的と思われ治療に着手しました。
側貌をみるとかなりの下顎後退が認められます。

唯一救いだったのはこの子は上顎の発達があまり悪くなく
下顎の後退を治療すれば治ると思われました。
下顎は身長が伸びるとともに次第に大きくなっていきますから上顎の発育を取り戻すよりはやりやすいともいえます。

バイオネーター使用で治療

約5年間バイオネーターを使い続けることによって

以下のような治療結果を得ました。

しっかり下顎も発達し口唇の状態から鼻呼吸が確立していることが確認できます。

このお子さんはブラケットとワイヤーを使った後半治療を希望されませんでした。

中切歯に空隙があるのはそのためですが

本人もお母様も特に気にしておられませんでした。

またしっかり鼻呼吸が確立されたためか学力も向上し

中学受験でよい結果を納めることができました。

アデノイド顔貌を機能矯正~バイオプログレッシブで治した症例

典型的なアデノイド顔貌です。

当然歯並びは良くありません。

口呼吸で口唇の閉鎖力が弱かったため

前歯がきちんと萌出しませんでした。

治療後

バイオネーターからバイオプログレッシブの連続治療できれいに治りました。

お口もきちんと閉じて口呼吸は改善しています。

きれいなかみ合わせを作るとあとは自然な成長で

どんどんかみ合わせができていきます。

6歳から治療を始めることの意義

6歳から12歳の長期間機能矯正を続けるというのは
気の遠くなる時間のように感じるかもしれません。

6歳から12歳は成長の準備期間

しかしこの期間はその後の人生を健康に生きていくための
とても大事な準備期間であり
その人にとってその後二度と訪れることのない機会でもあるのです。

いろいろな年代の方に有効な機能矯正ですが
特に6歳からの成長をとらえながら治療していく
というのは最も効果が高くその後の安定性と
思春期以降に訪れる心身の健康な成長の重要な支えとなるのです。

非抜歯矯正(非抜歯拡大矯正)をするとどうなるか?

抜歯矯正と非抜歯矯正

矯正と言えば第一小臼歯を抜くもの、というのが通り相場ですが

小臼歯抜歯がうまく行かないと言う事は患者さんの間でも知れ渡り始めているようで

最近では非抜歯を売り物にしている矯正も増えてきました。

また矯正専門医でも趣旨を曲げ非抜歯を謳わないと食えないところもあるようで非抜歯矯正に手を付けているところもあるようです。

ところでなんで私が「非抜歯矯正」と他人事のように言うかというと私の「機能矯正」は抜歯矯正でも非抜歯矯正でもない第三の道だからです。

 

抜歯矯正で不具合が起こるわけ

さて以前の記事で抜歯矯正を日本人に適応するとどうなるかは詳細に述べました。

 

4番抜歯がすべて悪いわけではなくきちんとした検査に基づけば適応があり適応に基づけばうまく行くのです。なぜうまく行かないかについてはすでに述べていますがおさらいをすれば4番を抜いてうまく行くのは基底となる顎骨の成長が正常で歯の大きさだけが大きい場合です。ところが日本人の不正咬合はほとんどの場合顎骨の成長不全によって発生しているのです。

つまりただでさえ小さい顎骨をさらに小さくすれば歯は並んだとしても全体としてのバランスは崩れてしまいますしなにより最も大事な気道の位置的な確保をはじめとする呼吸機能の障害が発生します。

また高率に顎関節症も発症します。

いま呼吸機能と申しましたが

呼吸機能が正常に作用するにはまず舌の位置が正しくなければなりません。

舌の上には鼻の中の空洞、鼻腔がありの奥の上顎洞があります。

舌がきちんと顎の中に納まっていると言う事は鼻腔も上顎洞も正しい大きさを確保していると言う事になります。4を抜いて上顎を縮めてしまい舌が上顎に納まらなくなれば

この呼吸に関する器官の物理的大きさも小さくなり空気が通りにくくなります。

また舌が後方に押しやられるために閉口状態では気道がつぶれてしまい空気が通らないために口呼吸の傾向が強くなります。

舌が正しい位置に行き上顎がしっかりした大きさを確保し鼻腔や上顎洞も正しい大きさが確保できれば鼻からの空気の通りがよくなり、また舌がしっかり前方位を取れるため気道がしっかり広がり正しい鼻呼吸ができるようになります。

歯並びもこのように治せば後戻りも少なくなり多少乱れたとしてもれ気にならい程度となります。

機能の不全を残したままでワイヤーではを並べたとしても外せばあっというまに乱れてしまいます。当院ではアライナー矯正で抜歯矯正後の後戻りの治療をすることが多いですがたいていはミューチュアリープロテクテッドオクルージョンすなわち個々の歯が咬みあわせにより位置的に安定しあい保護しあうと言う関係は構築できず永続的なリテーナーの使用をお願いすることが多いです

非抜歯矯正とは

さてこのように4番抜歯は適応を誤ると重篤な副反応を引き起こすわけですが

非抜歯矯正と呼ばれている技法ではどうでしょうか。

非抜歯矯正で思い出すのは一昔前に一世を風靡したデーモンブラケットです。

基本的にデーモンはローフリクションと呼ばれる種類のブラケットで

デーモンブラケットに所定のワイヤーをセットすると歯列が拡大していくように設計されています。

またその前処置として第一大臼歯の遠心移動(後ろに送り込む事)を行います。

歯を並べるためのスペースを確保するために第一大臼歯を後ろに押し込むのです。

すると確かに4抜歯しなくても歯はきれいに並びます。

非抜歯矯正で不具合が起こるわけ

では何がだめなのか?

 

実はこの方法も上顎骨が充分に大きければ有効な方法です。

しかしながら一般的な日本人は(最近日本人と言うくくりがあいまいになっているのでこの言い方も適切とは言い切れませんが)上顎骨が小さいとお話ししました。

小さい上顎骨を抜歯で小さくすればおかしくなるというのは理解しやすいと思います。

小さい上顎骨の帳尻を合わせるために後ろ側にギュッと押し込めたとしたら?

上顎の後ろ側には神経や血管、それに呼吸に大切な気道が入っています。

前方にスペースが有り余っているならともかくそもそも小さな上顎に合わせて第一大臼歯を後ろに押し込むのだから重要器官の詰まっている後ろ側が大渋滞を起こして大変なことになってしまいます。

しかも4抜歯の場合に比べて不具合がわかりにくい。

偏頭痛がするとか、なんとなく体調が悪いとか、何故かわからないが表情が不自然とか。よくよく問診してみると非抜歯で矯正していたということがあります。

とてもよく起こるのは第二大臼歯の萌出不全です。

すべての歯がきちんと並ぶのが治療の一つのゴールなのですが

もともと小さすぎているところに第一大臼歯が押し込まれてくるのだから

第二大臼歯はたまったものではありません。

埋伏をしたり生える場所が無くて横向きになってしまったりします。

私が第一大臼歯の後方移動をしたケースでいちばん気になるのは

歯列が不自然に横に広くなりどうゆうわけだか

カッパのような顔になることです。

正しい診断こそすべて

この原稿を書いている時のことですが

タレントの堀ちえみさんの舌癌のニュースが伝えられました。

ほりさんは難治性の口内炎を訴え数か月におよびかかりつけ歯科医に通っていたそうですが難治性の口内炎はまず癌を疑うという診断の初歩を知らない歯科医のために治療好機を逸しステージ4、つまり末期がんと言われる段階まで進行してしまいました。

まだまだ治療の可能性は残されているとは言うものの

もっと早く専門医の診断と早期の治療ができていれば・・

と自分のテリトリーで起こったことに対してとても悔しく思います。

なにより堀さんの一日も早い回復を願ってやみません。

 

言いたいとは正しい診断ができなければ時に命にかかわる重大事となるということです。

 

また矯正治療のように長期間と多額の費用のかかる治療の場合

もし間違った結果を出してしまえば少なくとも治療にかかった時間を取り戻すことはできない、ということです。

4抜歯にせよ非抜歯矯正にせよ適応を見極められれば良い結果を出すことのできる治療法です。

しかしながら当院には矯正治療の不具合を訴えてお出でになる患者さんが後を絶ちません。

正解は診断の中にこそあり

まず治療法ありきではうまく行くか行かないかはギャンブルになるということです。

 

どうもおかしいとか納得が行かないと思われる方がいらっしゃいましたら早くお出で下さい。

ご相談お承りいたします。